みんなが夢中になって暮らしていれば、別になんでもいいのさ

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その1



某月某日   マーフィーの法則

 1ヶ月ほど前に、トンガ店員Nob氏の出演する劇を見に行ったのだが、 前売り券をなくしてしまって結局当日券を買った、という出来事がありやした。 計6000円くらいも劇団に貢献。エライぞ俺様!はいいけど、前売り券、出てきましたよ、 あれほど探したはずのカバンの中の、 究極ゲームリスト1999のページのあいだから・・・うわーん。

ブーブの法則 「探し物は、最後に探す場所でかならず見つかる。」
ブーブの法則に対するブロックの反論 「探し物は最初に探す場所にかならずあるが、最初に探したときには見つけられない。」


 ちきしょー、その通りだよ。



某月某日   at 湯の山温泉 in 正月

 三重県の湯の山温泉に行くのでついてこいと両親が言うので御供する。
 飯を食い、風呂に入る。
 それだけ。
 他に何もすることがないので珍しくTVなど見たりする。

 ゲームコーナーは案の定ほったらかしの寂れまくりで、これも風情があると言えば言えなくもない、か・・・?


 寒い廊下の一角で、傷つき古ぼけたエアロシティ筐体たちが佇んでいる。 何時のことだったろうか、あの台のモニターから青色の発光が途絶えたのは。
 昨夜から雪になった。朝が訪れると、ガラス窓の外の山々は美しく生まれ変わり、年老いた遊戯機械たちを慰めてくれる。 いまだ降り止まぬ白い天使の塵々が、半壊したポールポジションUの曇り窓にそっとその身を映しだす。
 ガラス窓を遮って行き交う浴衣姿の男女、男女。今朝は特に冷えるから、暖かい温泉を恋焦がれてみな足を早める。
 陳腐化した遊戯機械たちには、もはや彼らを振り向かせるだけの魅力も無いようだった。

 思い出す、あの楽しかった時のことを。たくさんの人が訪れ、自分達を取り囲んでいたあの頃を。
 はしゃいだ子供たちの笑い声。
 大人気無いほど夢中になった人々。
 お腹の中はいつも百円玉でいっぱいだった。

 「キャプテェ――ンフラァ――ッグ!キャプテンフラッグの海賊船へようこそ!君の挑戦、待ってるよぉ!」
 愉しげな誘い声が、誰の心にも届くことなく凍えた廊下に響き渡る。繰り返し、繰り返し、いつの日か務めが終わるその時まで・・・
 幾年月を刻んできたか、そしてこれからも――。
 
   外はただただ雪が降り続けていた。


 こんな感じ。
 ↑これだけ書くのに1時間以上かかったことはここだけの秘密ってことで。

 朝風呂に入ってまたTVを見る。ワイドショーみたいなのやってる。
 あ、この人、パソコンサンデーの人だ・・・



某月某日   風呂敷スープラ

仕事中、久しぶりにあの唐草模様のスープラを目撃した。いつ見てもインパクト有り過ぎ、本当に変だ・・・
車と言えば2、3日前、「サン電子」と書かれたカローラバン(だったと思う)が名古屋高速を北上していた。 死と暴力が支配する街・コーナーンへの帰路であったのだろうか。 ・・・あれ、元ネタのゲームが思い出せぬ。



某月某日   世界観

 閃激ストライカーのタイトルデモは印象に残る。
 最近にしては珍しく、非オーソドックスでアンチヒーローなキャラ。 あの怪しいパイロットの男女二人組・・・何かが隠されているような風情。彼らの今までの人生にいったい何があったのか?
 ・片目に眼帯をかけた屈強な体格の中年男性。口髭を生やし、杖をつく。ふつうの格好さえしていればきっと紳士っぽいのだろうが・・・。
 ・寝癖ですか?と聞きたくなる、後頭部両側面が跳ね上がったへんな髪型でツリ目の少女。巨乳。
 そして二人とも、いかにもビットを操作し易いような(←偏見)キテレツでビビッドな色使いのピチピチスーツ。 女はまだしも中年男も!だ。
 これは、サイキックなSFキャラはこういう格好をすべしという、何か伝統のようなものでもあるのだろうか。

 しかしそんなたった数枚の止め絵とチンケなアニメが、妙に、ストーリーや物語の背景を想起させずにはいられなくする力を持つのである。


 西暦3159年、地球は外宇宙からの侵略者の猛威にさらされていた・・・ 絶望的な戦況を呈する中、地球連合軍は捕獲した敵のデータから研究を進め、 ついに脳波感応性コントロールシステムの試作に成功。 このシステムを搭載した外部無人高機動攻撃機”ガンビット”及び母機を試作し、 実験的に実戦投入したところ多大な成果を得た。
 軍はこのシステムの開発拡大に力を注いだが、それを操る事のできる人間には特殊な素質が必要であり、 パイロットはわずか3名しかいなかった。不安定なシステムは精神に掛かる負担が大きく、 それに耐えられる者が「発見」されて連れられてくる、というのがその実態であったのだ。

 そして悲劇は起こった。そのうちの一人の青年が実戦において発狂、突如として友軍部隊を攻撃し潰滅させた後、 自ら大地に激突して母機ごと自らの命を絶ってしまったのである。
 しかしもともとその兆候はあった。3人とも、原因不明のシステム暴走や意識喪失が度々あり、 同士討ちはかなりの頻度で起こっていたのだ。全ては極秘にされていたのだが・・・
 しかしこの大事件はまたたく間に軍や一般にも広まり、秘匿されていた小規模の同士討ちも次々に露呈してしまう。 かつてヒーローだった彼らは、鼻つまみ者として忌み嫌われる存在へとその身を落としてしまった。

 だがそれでも、地球の命運を彼らが握っていることは戦力的に明らかであり、特殊部隊は存続した。
 機体には外部からリモート操作可能な自爆装置が取りつけられた。

 少女パイロットは、地元で筋金入りのワルとして名が通っていた。そんな彼女を立ち直らせてくれた青年の死。 そして世間の荒波は悲しむ間も与えてくれはしない。
 軍出身の中年男性パイロットは、軍内部からさえ半分疎まれている自分達の運命を呪いながらも、 あくまで軍人としての誇りを保ち続けることで任務をまっとうしようと決意した。
 そして残された二人は、過酷な環境の中で孤立を深め、いつしか人知れぬ愛を深めていった・・・

 ガンビットに攻撃命令を下すため、コクピットの中で少女が叫ぶ。その胸に去来するものは何だろうか?



 とか妄想してしまうじゃないかッ!

 思わんか。
 しかしまあ、どこかで聞いたようなネタのオンパレードなことよ。



某月某日   くたばる前にそっと消えようね 飽き飽きする前に帰ろうね

気がつくと今月のアフタヌーンを買ってない。その程度の興味しか残っていないってことだろう。 ちょうどいい機会だが、これで毎号買っているマンガ雑誌は無くなってしまう。あれほどにマンガ読みに耽った頃もあったのに。 今でも本屋やコンビニで気に入ったマンガは立ち読みする。だけどもう、 何回も何回も読み返したりとか、所有したいとかの欲求は失われてしまった。
作家性を切り売り。刺激は習慣化。限界効用逓減の法則。



某月某日   ・・・君は今日もよくやったよ

 久しぶりに大須に行った。
 基板屋のミルキーウェイの入っているビルに、 オーディオ店の「○○○○○堂」大須店がある。
 覗いてみると、4ヶ月半ぶりに見るYさんが忙しそうに仕事をしていた。 Yさんは、以前私が別のオーディオ店の「○○○○プラザ」で働いていた頃に よく来てくれていたお客さんだった。が、別に私の客だったわけではない。 その頃の彼は、それはそれは高額で大型でヴィンテージなスピーカーや、真空管アンプを買ってくれたものだった。
 そしてここで働き始めてから1年か2年か経っただろうか。 いつも気さくでお調子者だった彼も、今はそれなりに落ち着いた感じがするようになっていた。 だが疲れているように見えたと言った方が正しいかもしれない。 恐らく毎日の勤務時間は12〜13時間以上、少し前まで隔週休みだったのが今は週1で休みが取れると言う。 社長のTさんからのプレッシャーも大きいらしく、来るたびに愚痴を聞かされる。 顔色がいいとか元気そうとは言えない。 たった数年で額の上限もずいぶんと後退してしまっていた。

 時間は午後1時過ぎ、今から昼休みなのでいっしょに出ようと彼が言う。 私は言われるままについていくことにした。春らしい陽射しの下、てくてくと二人で歩いていく。 大須の町はいつだって、何か面白いことに巡り合えそうな気にさせてくれる。

「昼飯食いに行くんですか?」
「いや、○−○○○つきあってよ」
「○−○○○?・・・ああ、あの、ビルの3階にある同人誌屋」
「ここんとこ、あそこで絵ー描くのだけが楽しみでさあ。昼飯なんかこれだもん、今日は食べるだけマシ」
 いつのまにかYさんは小さな菓子パンを食べながら歩いていた。 手に持ったコンビニ袋の中にはあと1個だけ菓子パンが入っているようだ。
「金なくてさ、全然。同居人がいるもんで」
 初耳だった。聞くと、そのせいでここでちゃんと働き出したのだと言う。
「同居人が酒飲みでさあ、食費別で酒代だけで月6万かかるんだわー。タバコも吸うしさー。俺は酒もタバコもやらんけど」
「その彼女は働いてないんですか?」
「うん」
「……」
「しかもさーオタク嫌いだもんで、家で絵ー描かせてもらえんくってさあ。 1回家で描いてたら、横の同人誌バラバラにされちゃった。もうビデオもバラバラにされてまってさー」
「何ですかソレは・・・まああまりツッコまずにおきますけど」

 ここは大須赤門通り、怪しくなってきた話の裏道に迷い込まぬよう注意しながら電気街の道のりをゆく。 平日の昼間とは言え通行人はそれなりにいる。すぐに件の場所につく。
 だいぶん前に入って以来だったが、中の様子は変わっていないようだ。 数多くの男性向けエロ同人誌が、書棚にぎゅうぎゅうに詰め込まれ、あるいは平置きにされて過剰な内部をアピールし、 いつでもどんな時でも人間の欲望を受け入れようとしていた。
 こういう店が放つ特有のオーラはある面では親近感であり私を引き寄せ、別のある面では斥力となって撥ねのける。 しかしその力の発生源は両者とも私の内部からであるに決まっていた。
 店内は以前に見た日曜日の時よりは閑散としているようだった。

「最近ここ知ってさー。まあ座りゃあ」
「座りゃあ、ってあんたも客でしょーが」
 コミュニケーションノートの置いてある机の前にふたり並んで腰掛ける。
 店内を見て回るのはどうと言う事もない。が、ここに座るのは私ひとりでは無理だろう。居心地が悪すぎる。
 笑える話だ。いつも別の場所でしている同様の行為と、なんら変わりがないからだ。
「ここ机も椅子もペンもあるで便利だわ」
 彼がノートを開く。すぐに、この辺りのゲーセンノートでよく見かける名前やイラストがあるのが分かる。
 1、2ページおきにやや古め?の絵柄の女の子のイラストがあり、それがYさんの絵だと言う。 本当に毎日来ているらしい。そういえば彼の絵を見るのも初めてだった。
「前ここで、自分が昔描いた本が売ってて、売った時より高い値段ついててビックリした」
 そういうコトを店員や他の客のいる前ではばからず喋るYさん。
 何か精神的な理由があるのではなく、もともとの単なる傍若無人さによるものだろう、と思うことにする。
「もう1年はマンガ描いとらんわ。週に1回、ツレん家で絵ー描いてたけど3ヶ月でやっとイラスト1枚。 それでもお金出してくれたけど」
 話をしながら、昨日の書き込みをチェックし終え、彼はいよいよ欲求不満をノートに鉛筆を伝わせて吐き出し始めた。
 その間も常に一人か二人の青年が店内に入れ替わり立ち代わりに入ってきて、 ある者は真剣に、ある者は下らなさそうに、ひとりひとりで夢幻の詰まった棚に立ち向っていった。

 なんとなく店内をぶらりと歩いて机に戻ってくると、既に彼のイラストは全体像を完成させつつあった。 どうやら机の正面の壁に貼ってあるポスターの、その中で微笑む3人の少女のうちの1人を模写しているようだ。
「これかわいいよねー。この前CMで見てさあ」
 しかし最近の事情にすっかり疎くなったYさんは、そのキャラクターの名前がでじこと言うのを知らない。 私はCMの方を知らないが・・・
「これ描いてるの女の人らしいですね」
「ふーん」
「男の妄想のカタマリみてえなデザインなのに」←受け売り
「いやー、そう言われると全体のまとまりとか、かぶりものの辺が女っぽいんじゃない?」
「そうですかねー。そう言えばかくかくしかじかで、 2002年にはどうなるだろうって話」
「どの道なんか抜け道があるに、どーせ、今も同じようなもん」
 雑談しながらふと見ると、彼の昨日のイラストに署名がない。めくってみるとずーっと書いてない。 そうか、Yさんはコミケに行ってたことはあってもゲーセンノートとか利用したことはないんだ・・・
「それマズイですよYさん。こういうノートは必ず名前書かないと駄目なシキタリになってるんですよ」
「えー?やだよ恥ずかしいもん」
「恥ずかしいって、別に本来のペンネームじゃなくてもいいんですよ」
「だって俺別にコミュニケーションとか取ろうと思ってるんじゃないし、絵が描ければ」
 それはつまり人に自分の絵を見てもらうだけの一方通行でいいということか。
「・・・・・・。あと絵だけじゃなくて、なんか文があった方がカドが立たないです。」
 彼の昨日までのイラストの脇にある文字は、よく見ると全部他人からのコメントだった。 曰く、かわいいですね、上手いですね、これは何てキャラですか?など。
「あーそう?んじゃー・・・」
 Yさんは余白に、「生きるのって大変」「毎日しんどい」「全部捨ててどこかへ行きたい」とか書いたような気がした。
「・・・・・・・・・・・・。それとページ上において占有面積に気をつけることです。 これはイラストの場合、上手であるほど許容量が上昇し、下手であるほどラクガキ扱いを受けます。」
 まるまる1ページ使ってるのがあったので言ってみる。
 彼に貴重な安らぎのひとときを与えるものを、彼自身の不用意かつ些細なミスで失うような事態を招くよりは、 少々うるさく言った方がいいだろう。エロに関しては場所柄だろう、かなりOKなようなので言わない。
 ただ、ここのノートはそれほど四角四面なモードに陥っているわけではなさそうなので多分大丈夫だったが。
 やがてほぼ絵ができあがり、彼は最後の手直しを施していた。が・・・
「あっ!上の人の絵にはみだしたじゃないですか!」
「あ、しまった」
「それはヤバイ、危険行為ですよYさんッ! ノーターの皆様方の、あなたを煙たがっておられる心証が、相手の明らかな失策を得たその時!ついに噴き出し始めるのですッ! この閉鎖環境からあなたを排除する運動が巻き起こるのです、 始めは小出しに、しかしYさんが反省の様子を見せないと分かった途端ッ!誰かが上から紙をお貼りになられて、 『二度と来んなサヨウナラ』とか断固たる意思表示のメッセージを示されちゃったりなんかしたりして、もう大変です。」 ←受け売りな文
「それは困るなあ」
 はみ出た部分を描き直し、店を出る。

 彼は昼食の2個目を食べながらまた歩いていく。互いに挨拶をして別れようとした直後、
「あー○○さん○○さん、俺このあいだ入院しちゃってさあ」
「え、なんでですか?」
「いやよく分からんかったけど、吐血しちゃった」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・、まー体には気をつけて、また遊びに行きますから。 そうだ、どこかへ逃げるんならMさんにでも連絡して下さい。 私は何もしませんが、草葉の陰で見守りましょう」
「ハハハ、な〜に言ってんだよ、じゃあ」
 パンをかじりながら歩いていく後ろ姿を見届け、私もその場を立ち去る。 多分Yさんは、このままどこかをふらつきながら残りの時間を過ごすのだろう。

 彼はあと何回この昼休みの過ごし方を繰り返すのだろうか。
 誰が彼を笑えるだろうか。特に私のような人間には・・・
 このタイミングで吐血の話題を出したことに何か意図があったのだろうか。
 答えの出るわけもない疑問を感じながらも、私は今言った言葉の通り何をしてやる甲斐もないまま、 ひとりでポンコツの軽自動車に乗り、そこが次の目的地らしいという場所に進んで行くだけだった。



某月某日   空力はすこぶる悪いらしい

 ダイハツのネイキッドっていいなあ。 メカっぽくてカッコいい。コンセプトも良い。ただ、ハクション大魔王はどうかと思う。
 朝いつも通る道で、たぶん同一車と思われるカーキ色したネイキッドにちょくちょく遭遇するのだが、 今日ふとダイハツのディーラーの前を通りがかったら同じ色のネイキッドが展示されているのを発見。 あー、やっぱ標準色だったんかアレ・・・そういうカラーを用意するあたり分かっているというか、 でも本当に買う人いるんだあ、とか感心した次第。せっかくだからタミヤカラーのオリーブドラブを塗って色を比べてみたり、 意味なくウェザリングを施してみたり(ただほんとの泥で汚すだけ)、 12.7mm機関銃をつけてみたりしてほしいものだ。
 でもRIGHT−WINGな言葉で車体をドレスアップとか、特製ホーンで軍歌を流すのは控えてほしいデス。約束だぜ。



某月某日   at 無人の荒野

ここのところ頭がパンパンだったので、気分転換に海に行きました。
天気は快晴とはいきませんが、うすぐもりだけど暖かくていい陽気です。
ぼくの家から車で20分くらいで行けるのですが、1年ぶりくらいでしょうか。

南へ下って行くとどんどん人口密度が下がるので
緊張感がほどけて楽になります。
車で行けるのは鍋田干拓の南端までです。たんぼばかりの土地ですが、
建設中の第二東名が似つかわしくない威容を誇っています。

かつて海水を押し留めるべく働いていた旧堤防に上ると、
まずはどこかの業者が大量に捨てて行った、
愛すべきゴミ達がいつもの姿をさらしていました。
サビついて何年前から蓄積されているのか分かりません。
隣の広大な木曾岬干拓地はやっぱり草木で覆われていました。
もう十年以上も前に放棄された土地です。
風の音と、何ヶ所からか鳥のちいさな鳴き声が聞こえてきます。
遠くの工事が高調波の減衰したBGMを流しています。
エイフェックス・ツインのアンビエントみたいに。
これは生まれてからずっと、現代を生きるぼくたちの通奏低音なのでしょう。
ここまで来ると、もう、人間は自分しか見当たりません。
名古屋市からすぐのところにこんなサバンナ地帯があって楽しいです。
ここは奇妙な共感と感傷的な気分に浸れます。
木曽川対岸の長島温泉の観覧車は、今日はかすんでよく見えなかかったです。

ここから木曾岬干拓地と富浜緑地のあいだの道を
折りたたみ自転車で数キロこいでいかないといけません。
「関係者以外立ち入り禁止」のすすけた看板がいっぱいあるのですが、気にしません。
ひたすら真っ直ぐな無人の道を進んで行きます。
別に急ぐ必要はないのに、ペダルをこぐ足に妙に力が入ります。
以前と変わっていたのは、富浜緑地と木曾岬干拓地をつなぐ橋ができていたことです。
明らかに建設用の武骨なそれは、
しかしぼくたちの頭上を通過して架かっています。
県境問題も解決したので、再開発のめどが立ったのでしょうか。
そう言えば来る途中、通行禁止が新設されていました。
少しずつ変わっていくのでしょうね。
畜生。

本当の堤防を上りきり、海が見えた時はちょっと感動します。
ここには、消波ブロックの前に長さ100mくらいのちいさな砂浜があります。
地元民以外には知られていないでしょう。
まぶしい砂浜、クリーム色した青い海、明るい陽射しの下、
そんな生命のイメージに溢れた場所で、
ぼくはコンビニで買った水とヨーグルトを口にしました。

寝転んだり、砂浜に足跡をつけたり、海を見たりしました。

堤防のアスファルトの隙間で一生懸命に生きている雑草を、
むしって捨てました。